昨今は低金利であるとはいえ、ローンを組むとはお金を借りるということ。金利も含めて必ず借金を返済しなければいけません。しかし、どうしてもローンを返済できなくなった場合、どうすればいいのでしょうか?現実的な対応をまとめました。
必ず金融機関に誠意ある対応を
ローンの返済ができないとわかった時点でまずすべきなのは、金融機関への連絡です。
事前の報告があるかどうかによって金融機関の心証がだいぶ変わるだけでなく、信用情報に記載される内容も、「事前に連絡があって返済されなかった」のと「予告なしで返済されなかった」のでは異なります。当然、後者のほうが信用情報へのダメージは大きくなるのです。
そして、返済金を捻出するための行動を起こしてください。
短期的には配偶者が働きに出る、車を売却することなどが考えられるでしょう。生命保険を解約することで得られる解約返戻金を返済原資にする手もあります。
よくいるのが、金策に走り回っている最中に金融機関からの督促を無視したり、キャッシングやカードローン、サラ金などからお金を借りて埋め合わせたりしようとする人ですが、これらは絶対NGです。
督促の無視は金融機関の印象が非常に悪くなり、その後の返済計画の見直しなどで相談に乗ってもらえる可能性がかなり下がります。また、キャッシングやサラ金などは金利がローンより高く、一時的にローンを返せても追加の借金のほうがよほど重くなってしまいます。
返済できない場合の対応
一時ローンの支払いが危うくなっても、家計の見直しによって返済再開のメドが立つのであれば、問題ありません。
しかし、どうしても支払いが止まり続けてしまう場合、3ヶ月〜6ヶ月程度の滞納で金融機関から「期限の利益喪失」の通知が届きます。
これが届くとローンの分割返済が認められなくなり、一括で返済しなければいけなくなります。
そして、金融機関や委託先の保証会社が裁判所に競売の申し立てを行い、不動産は競売にかけられることになります。
持っている不動産が競売にかけられると、そのことは裁判所を通じて全国に情報公開されてしまいます。裁判所の人間が家に出入りすることになり、近所にも知れ渡ることに。競売は相場の5〜7割程度の金額でしか売却できず、残債は一括返済を求められるため、自己破産しか選択肢がなくなる可能性が非常に高くなります。
そんな悲劇を避けるためには、先手を打って自ら不動産を売るしかありません。
「開札」と呼ばれる競売の落札者決定の日の1日前までであれば、金融機関と連帯保証人、連帯債務者の同意を得たうえで「任意売却」という方式で物件を売却することが可能です。この方法は平時に物件を売るのと変わらず不動産会社に依頼する方法で、相場価格に近い価格で物件を売却することができます。
ただ、任意売却は特殊な売却案件なので、実績の豊富な不動産会社に依頼しなければいけません。一番はやはり、ローンが支払えなくなるとわかった時点で通常のプロセスで物件を売却し、譲渡所得でローンを返してしまうことでしょう。
今の家を売っても住み続ける方法
子どもの学校の都合などがあってどうしても今の家に住み続けたい、という場合、「リースバック」という手法があります。
これは、物件自体は売却するものの、今の家に賃貸で入居し続けて賃料を払う、というスキームです。賃料さえ払っていれば引っ越す必要はありませんし、お金が貯まれば後々物件を買い戻すこともできます。
注意点としては、当然ながら物件の所有権はなくなること。また、売却時の譲渡所得で残債を返しきれなかった場合、賃料にプラスして引き続きローン返済の負担を所有しなければなりません。買い戻しの時に割高に買わなくてはいけない場合も多いようです。
ただ、この場合は、リースバックする前提の購入であることを納得してくれる買い手を見つける必要があり、買い手側が金融機関から融資を得なければならないのがハードルです。
ローンを返済できない場合、すっぱり不動産を手放してしまったほうが身軽であるのは間違いありません。
金融機関は非情
金融機関は、不動産購入のためにローンを組んだ際には担当者が腰を低くして丁寧に対応してくれたかもしれません。
しかし、借りたお金を返さない人には容赦をしないのが金融機関です。誠意ある対応をしないのは論外として、返済計画を変更するよう相談しても易々と譲歩してくれることはないと心得ましょう。
ローンを返済できない場合、競売そして自己破産という結末は最も避けたいところです。
あらゆる手を使ってローンを返し続ける方法を模索し、並行して売却の道を早い段階で探さなければいけません。