独立を絶対成功させたい営業マンのための、不動産業界「起業」のリアル

東京商工リサーチの調べによると、2018年の全産業における新設法人数(起業の数)は約12万9000件。そのうち不動産業の新設法人数は約1万6000件で、構成比は約12%。全国で新規開業する会社の10社に1社以上が不動産会社だという計算になります。非常に広範囲の業種をカバーする「サービス業他」に次いで全産業で2番目の構成比で、不動産業は独立の多い業種であることが数字で裏付けられています。

では、なぜ不動産業界は独立が多いのでしょうか?既に起業を成功させた独立5年目以降の経営者たちへのインタビューでは、以下のような意見が集まりました。

独立した理由①相談相手やモデルになる先輩が多い

大手のメーカーや金融機関などに勤めている場合、独立起業は非常にまれなケースです。
もし独立を考えたとしても、独立について詳しい同僚や先輩起業家は周囲にほとんどいないはず。一生サラリーマンが当たり前の価値観のなかで、賛同や応援を得ることも難しいでしょう。

しかし、不動産業界で独立起業はよくあることです。何年か業界で経験を積めば、既に独立を果たした先輩と必ず繋がりができるはずで、相談に乗ってもらえます。「あの人がうまくいったのなら自分もうまくいくだろう」というように、独立に対する心理的ハードルが下がるのかもしれません。

良心的な会社であれば、自分の会社の社長が相談に乗ってくれることもあるでしょう。身近な先輩起業家からアドバイスを受けることができれば、独立の成功率はグッと上がります。独立が多い業界だからこそ、後輩社員も独立しやすい構造があるといえます。

独立した理由②営業のノウハウさえあれば独立できてしまう

平成24年度の総務省・経済産業省による「平成24年経済センサス-活動調査」によると、不動産業・物品賃貸業を営む会社のうちおよそ98%が小規模事業者。小規模事業者のほとんどは世間的には無名の会社です。

投資用不動産営業として経験を積み、成果をあげることができれば、ほとんどの人は「会社の名前に頼らず自分自身の力で売る」ことが可能な人間になっているのです。

これは独立するにあたって非常に大きな強みです。独立起業したとしても、差し当たって行う業務は独立前と変わりません。見込み客リストを仕入れ、アポをとり、クロージングして成約に導くだけです。

最初は銀行融資が得られず自社物件を扱うことができなくても、営業力不足の不動産会社の物件の売買を仲介したり、不動産会社に物件をおろす物上げ業者の営業代行として動いて手数料を受け取ったりするなど、売り上げをあげる方法は様々に工夫することができます。

勤めている会社で安定した成果を出せる、腕に覚えのある営業マンであれば、独立1年目からサラリーマン時代の数倍の年収を稼ぐことも決して夢ではないのだとか。

独立した理由③独立資金がすぐに稼げてしまう

不動産会社の開業に必要な資金は、最初からオフィスを借りるのかいったん自宅をオフィスにして宅地建物取引業免許を取得するのか、全日本不動産協会などの協会に加入するのかしないのか、従業員を雇ってスタートするのか社長一人で始めるのか等で変わってきます。平均的には、おおよそ400万〜1,000万円程度が必要でしょう。

最大1,000万円超えの貯金というとハードルが高く感じられるかもしれませんが、独立して成功できるレベルの営業マンであれば、現在の年収は1,000万円を優に超えているはずです。

仮に独立を思い立った瞬間の貯金がゼロ円であったとしても、2年もあれば開業資金を貯めるのは難しくないでしょう。逆に、上記の独立資金を短期間で貯める自信が持てなければ、独立は時期尚早です。

お金が入らなければ当然、すぐに会社を畳むことになるのが現実です。時間をかけてコツコツ貯金した、というよりも、短期間で一気に資金を稼いでその勢いのまま事業をスタートした、というのが成功した独立に多いケースです。

腕に覚えがある営業マンなら独立は簡単

全ての産業の中でも非常に独立起業の多い、不動産業界。本記事では、不動産業の独立が相次ぐ背景にあるものを述べてきました。

「不動産業界…独立に失敗するケースと求められる経営者の条件」にて起業のリアルをさらに掘り下げていきます。

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